長期滞在者に向けたプログラムの不足
タイの入国管理局では、長期滞在のための入国審査が常に課題となっていますが、退職者はそのカテゴリーのひとつに過ぎません。
余暇を過ごすためにタイに来てもらい、晩年は公立・私立を問わずタイの病院システムを利用できるようになれば、完璧なWin-Winの状況になるように思われます。もちろん、十分な収入があることを証明し、タイの医療制度に負担をかけないようにする必要はあります。
退職者は旅行する時間もあり、人生で蓄えたお金を楽しく使うことができます。又彼らはタイのオーナーから不動産を借り、可処分所得をタイ経済に循環させています。
しかし、ここ数年、リタイアメントビザが少しずつ変更、調整され、最低年齢である50歳以上の人たちがタイでロングステイを楽しむことが難しくなってきています。
そして、一度滞在しても、90回のレポートとビザの更新申請をしなければならなず、また銀行預金や収入証明の要件も厳しくなっており、タイで贅沢とは言わずとも、快適な生活を送るための十分な資金を持っている退職者の多くは、この要件を満たせないケースも出てきています。
タイの近隣諸国とは異なり、退職者を積極的に誘致したり、車や家具を簡単に輸入できるようにしたり、タイでの生活をより快適にするためのコンシェルジュサービスを提供したりするプログラムは確かにタイには存在しないのです。
デジタルノマドの機会損失
タイの入国管理制度が敬遠しているもう一つのグループは、大きな機会損失であるデジタルノマドです。
実際には、デジタルノマドの多くは比較的お金を使う人で、タイのホテルやアパートを借りて、長期間滞在することが多いようです。また、「ノマド」として旅行することも多い。タイで働くノマドは、他の国でビジネスをしている人が多いのですが、税金を払ったり、保険に加入したりと、タイの医療制度に負担をかけないような仕組みが整っています。
ここ数年で登場したスマートビザは、デジタルノマドを名乗る一部の人々にとって部分的な解決策となりますが、その数はごく一部に過ぎません。
なぜタイ政府は、退職者とデジタルノマドという2つのグループがタイに入国して長期的に生活する事を難しくしてしまうのか、理解に苦しみます。
これまでタイ政府は、「国際犯罪との戦い」を最大の理由として、多くの書類手続きによって新たな犯罪者を排除しなければならず、これがタイでの長期滞在を困難にしてきたと主張してきました。
しかし、新型コロナウイルスや国境閉鎖がアメイジング・タイランドの観光戦略を根本から破壊している今、退職者やデジタルノマドのために入国審査ラインを開放する必要性は、短期的にも長期的にも理にかなっていると言えるでしょう。
タイは、退職者やデジタルノマドのための東南アジアの「ハブ」となり、退職者やデジタルノマドを受け入れるだけでなく、タイが退職者やリモートワークのための最適な場所であることをアピールすることができるのです。
世界の定年退職者の数は増え続けています。また、新型コロナウイルスによって、リモートワーカーは大企業でも中小企業でも合法的な働き方になっています。
タイには、退職者のためのさまざまな宿泊施設と選べるロケーション、そしてデジタルノマドのための世界最速で最も信頼できるインターネットスピードという、両方のためのインフラがあります。
タイは、現在のビザの種類に手を加えて、退職者やデジタルノマドにとってより使いやすいものにすることもできますし、新しいビザの種類を追加して、両者のパラメータを設定することも簡単にできるはずです。